土地購入の際に確認するべき京都市の都市計画
京都市では左京区と右京区の一部を除いた区域が「京都市都市計画マスタープラン」に基づき、都市計画の対象となる区域として指定されています。土地選びの際には、都市計画をチェックすることによって、購入した敷地に建てられる住宅の条件や、周辺環境の将来的な変化を知ることができます。
具体的に、市街化区域や市街化調整区域、用途地域などの計画を確認していきましょう。
コラムのポイント |
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目次
京都市の都市計画を土地購入の際に確認すべき理由
都市計画には、道路や公園の計画だけではなく、購入した土地に建てる住宅に対する制限や用途地域に関することまで、広い分野に渡って定められています。個人の住宅には関係ないのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。
新築に際しては住宅の高さや、周辺の景観に関わる外観デザイン、敷地内に建てられる住宅の面積の割合など、建てる住宅への建築制限が定められています。また、将来、敷地周辺の環境の変化があるのかということも確認できます。
例えば、2階建て以上の建物がない地域だったので、平屋を建築したが、数年後に3階建ての建物が増えてしまい、日当たりが悪くなってしまったというようなケースがあります。購入時に、3階建ての家も建てられる地域であることを確認しておけば良かった…と後悔しても間に合いません。
また、駅の近くではあるが店舗が少なくさびれた地域であるが、数年後には開発が進む予定があるというような土地もあります。このような場合には、子どもがクラブ活動や塾で帰宅が遅くなる年頃には、帰り道の暗さの心配がなくなることを見越して土地の購入ができます。
京都市の4つの都市計画のうち、新築する戸建て住宅に関係する都市計画の内容を確認していきましょう。
市街化区域・市街化調整区域の都市計画
都市計画は、快適に暮らせる街づくりのプランのことで、自治体ごとに進められます。そして都市計画の対象となる地域は、市街化区域と市街化調整区域に分けられています。
市街化区域とは,すでに市街地となっている区域、及びおおむね10年以内に優先かつ計画的に市街地とすべき区域です。約15,000haの市街化区域が指定されています。
市街化調整区域とは,都市計画区域のうち,市街化を抑制する区域に対して指定されます。この区域内では,開発行為,建築行為が原則として禁止されています。約33,000haが指定されています。
引用:都市計画局都市企画部都市計画課 市街化区域・市街化調整区域の都市計画
上記に書かれている市街化区域とは、道路や公園など、地域の住民に必要な公共施設が優先的に建築されますが、基本的には住宅や店舗を建築できる区域です。
京都市では全体の面積82,783haに対して、58パーセントにあたる48,051haが都市計画区域です。さらにその中で31.2%にあたる市街化区域は14,980haです。
一方、 市街化調整区域とは、農地や緑地の保全が優先される地域です。京都市においては、市街化を抑制する区域であることから,開発行為や建築行為が厳しく制限されています。その為、基本的に戸建て住宅用に土地を購入したりすることができません。
京都市では、平成16年、19年、28年に、京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)が変更され、左京区や山科区の一部が市街化区域から市街化調整区域に変更されました。
出典:京都市役所 市街化調整区域における建築形態規制の指定について
京都市の用途地域
市街化区域には都市計画法によって、建物の用途や高さ、形態への制限が定められています。
用途地域
市街化区域は、建物の用途に応じて12の用途地域に区分けされています。そして、京都市の市街化地域全域も12の用途地域に区分けされています。
京都市内で最も多い用途地域は第一種低層住居専用地域で、市街地全体の14,980haに対して、23.7%にあたる3,543haを占めています。第一種低層住居専用地域とは、低層住宅のための地域です。
すべての用途地域の中で、最も建ぺい率や容積率、高さ制限が厳しい為、良好な居住環境が調っています。ゆったりとした敷地に、日当たりや風通しの良い平屋住宅や2階建て住宅が立ち並ぶ住宅地です。
2番目に多い用途区域は第一種中高層住居専用地域で、市街区域全体の15.3%にあたる2,296ha を占めています。第一種中高層住居専用地域とは、中高層住宅のための地域です。ゆとりある敷地に建てられた3階建て住宅や小規模なマンションなどが建ち並びます。
3番目は準工業地域で全体の12.4%にあたる 1,853haを占めます。準工業地域とは、環境の悪化をもたらすおそれのない軽工業などの工場が建てられる地域です。
京都市は観光地である他に、ものづくり都市という顔も持ち、京都市山科にある清水焼団地や南区久世工業団地など、伝統産業から先端産業までの様々な工場があります。
特別用途地区
特別用途地区は、地区の持つ特性を活かす為に環境を保護し、その特性を補うために定められている地区です。京都市では原谷地区と西陣地区が西陣織などの伝統産業を保護、育成するために特別工業地区として指定されています。
また、京都御苑は「国際文化交流促進・歴史的環境保全地区」らくなん進都(高度集積地区)はものづくり産業の誘導及び集積を図る「らくなん進都産業集積地区」とするなど、複数の地区が特別用途地区に指定されています。
高度地区・高度利用地区
京都市には高度地区と高度利用地区があり、地域の特性に応じてそれぞれの地区に指定されています。
高度地区
居住環境の向上や市街地景観の維持を目的に、建築物の高さ制限を定めています。一部の工業地域を除いて、市街化区域のうち約96.7%が建築物の高さの最高限度等を定める高度地区に指定されています。
高度利用地区
高度利用地区とは、都市空間を有効に利用し都市機能を向上させる為に、建ぺい率の最高限度、容積率の最高~最低限度等を規制する築です。京都市内では、山科駅前地区、太秦東部地区、京都駅周辺地区及び七条新千本地区が、高度利用地区に指定されています。
防火地域・準防火地域
どちらも火災の延焼を防ぐ為に指定されている地域です。市内幹線道路沿道を中心に約176haが防火地域に、住宅密集地を中心に約7,205haが準防火地域に指定されています。
また、祇園町南側,小松町の一部は、京都市伝統的景観に係る防火上の措置に関する条例に基づき、伝統的景観保全地区に指定されています。
駐車場整備地区
道路の環境を調える為、都心部地区には約407ha、京都駅地区には約77haの駐車場整備地区が指定されています。
歴史的風土特別保存地区
歴史的風土特別保存地区とは、歴史的な建造物や遺跡を、周辺の自然環境と併せて保全する為に指定されている地区です。その中で、約2,861haは特に重要な地区として、歴史的風土特別保存地区に指定されています。
形態を制限する計画について
京都市には自然の景観と歴史が育んできた景観、歴史的建造物と自然との調和を守る為、複数の地区が定められています。
景観地区(美観地区,美観形成地区)
美観地区とは歴史的な景観や、風情のある町並みなどを守る為に指定されている6つの地区です。
山すその豊かな自然への調和が求められる山ろく型美観地区には、北白川の銀閣寺周辺や今熊野の泉涌寺周辺などがあります。山並み背景型美観地区には、下鴨神社や京都大学周辺、川べりの景観との調和を求められる岸辺型美観地区には、岡崎疏水、高瀬川というように、数多くの地区が指定されています。
風致地区
風致とは自然の風景の趣を表す言葉です。この言葉の通り、風致地区とは、「都市全体の美しさと併せて、市民の生活環境を維持していく」為に定められている地区です。京都市では北区や左京区内に風致地区に指定されたエリアが多くあります。
緑地保全地区
京都市内の緑地を保全するために、特別緑地保全地区が指定されています。
生産緑地地区
京都市内には、農地を保護するために生産緑地地区に指定されている農地があります。
特別緑地保全地区
特別緑地保全地区とは、都市計画区域内で樹林地、草地、水沼地など周辺の自然環境と一体となって形成されている、伝統的、文化的な意義がある、風致景観が優れている、動植物の生育地になるという項目のうち、いずれかに該当する緑地のことです。
京都市では、洛西中央、吉田山、小塩山、善峰寺の4地区が指定されています。
京都市都市計画についてはポータルサイトで詳しく調べられます。
京都市内には、第一種低層住居専用地域が多いことから、良好な環境の土地に住宅を新築できる魅力があります。そしてその一方、建築時には景観に対する制限や、建ぺい率や高さなどに対する制限もあります。
その為土地探しの際には、都市計画についての知識が必要です。新築の為の土地探しに不安を感じる場合には、お気軽にご相談ください。土地探しから設計建築まで、トータルしてお手伝いいたします。
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