注文住宅の収納で失敗しない考え方のポイント

注文住宅の収納で失敗しない考え方のポイント

注文住宅の間取りプランを進める際、吹き抜けのあるリビングやおしゃれなアイランドキッチンなどに比べて、収納は地味な存在ですが暮らしやすさに大きく影響します。少ない収納は部屋に物を溢れさせますが、多すぎると床面積が無駄になります。失敗しない為にはリストを作りどのくらいの収納にするのかを決めていく必要があります。

 

注文住宅の収納を成功させるポイント
  • 収納計画は家族の動線、収納する物の量とサイズに合わせて進めます。
  • 動線と目的を併せて考えた上で収納を設ける場所を決めることが大切です。
  • 窓、内装素材、照明、出入り口によって収納の使い勝手が変わります。

 

注文住宅での収納の考え方

壁面収納

注文住宅では家族の希望に沿って家づくりが進められます。

  • リビングを広くとりたい
  • 作業がしやすいキッチンにしたい
  • 子ども部屋はそれぞれに作ってあげたい
  • ゆったり入浴準備ができる洗面所にしたい
  • ランドリールームを設けたい

この他にも、ご家族によって様々な希望があるはずです。それらを全て床面積という制限の中で割り振っていかなくてはならないので、収納は後回しになってしまいやすい場所です。ただ、収納は余った場所に作ればいいという考え方をすると、必ず失敗します。

収納に必要な考え方の基本

収納しやすい場所にある
収納したい物の量に対して最適な規模である
収納したい物のサイズに幅や奥行きがあっている
収納しやすい場所にある

 

家族の生活動線に沿っている収納は使いやすい収納です。しまいたい物があるのに、収納が遠いと、手近にあるソファや階段に物を置きっぱなしにしてしまうことが多くなるからです。

間取りプランは家族の生活動線を考えながら進められると思いますが、その際に収納の位置も併せて計画していくことが大切です。

収納したい物の量に対して最適な数である

キッチンの収納

家族全員の持ち物の量に対して、収納が少ないと物が溢れ、片付かない家になってしまいます。同時に収納はあれば片付くという物でもありません。無駄に多すぎる収納を設ければ、他の部分の床面積が圧迫されるばかりではなく、建築費も嵩んでしまいます。

そして、家族によって持ち物の量は異なります。家族の人数の他に、家族それぞれのライフスタイルによっても持ち物の量は異なります。

子どもの持ち物

子育て中に新築されるご家族の場合、子どもがまだ就学前であれば、持ち物の量は少ないでしょう。ただ、中学生、高校生と成長するにしたがって、子どもの持ち物はどんどん増えていきます。

子ども部屋に物が溢れて困るという収納の失敗例は少なくありません。その為、子ども部屋の収納は子どもが成長して勉強道具や習い事用品、衣服などが増えた時の量を想定して決める必要があります。

ライフスタイル

家族それぞれの趣味によって持ち物の量は変わります。アウトドアスポーツを好むご家族であれば、大型の収納が必要でしょう。家で仕事をする家族がいれば、書斎に仕事に必要な用品の為の収納、家族の人数が多ければ玄関やリビングのファミリークローゼットやキッチンのパントリーというように、収納に入れたい物の量をリストアップしていきましょう。

収納したい物のサイズに幅や奥行きがあっている

間取りプラン作成時には、新築後に使う予定の家具や家電のサイズや、窓の位置を考え併せながら進めていくことと思います。同じように収納には、入れたい物のサイズに合わせて幅や奥行き、高さを決めていく必要があります。

幅や奥行き、高さが足りないと収納したい物が入りません。幅や奥行き、高さが余分にあると、デッドスペースが生まれてしまいます。特に奥行きが深すぎる場合には、奥にしまった物が取り出しにくく、入れっぱなしになる恐れもあります。

収納する物のサイズに合わせて棚のサイズを決めることが、デッドスペースを防ぎます。収納計画に使うリストを作る際には、まず2つの項目に分けて収納する物のサイスを確認しましょう。

  • 収納ボックスや衣装ケースのサイズと数
  • 直接収納する食器や調理家電、衣類、掃除用品、本などのサイズと数

その上でそれぞれの量を調べ、収納全体の規模とタイプ、設ける場所を決めていきます。

場所とタイプ別の収納への考え方

 

玄関の収納2

京都市左京区|新築|K様邸

収納には壁面収納からウォークインタイプの大型収納まで様々なタイプがあります。その中から目的に合うタイプの収納を、家族の生活動線に合う場所に設けることが常にすっきり片付く家を生み出します。

玄関の収納

近年は「家にいる時間のほとんどは家族全員がリビングで過ごす」というライフスタイルが増えていることから、玄関からリビングに直行できる間取りが増えています。このような間取りには、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすく、家族の愛情が育まれるという良さがある為、多くのご家族に好まれるのでしょう。

一方、この間取りにはリビングに物が溢れやすいという面があります。帰宅した家族が直接リビングに入る為、コートやバッグを室内に持ち込むからです。この問題の解決には、玄関、又はリビングに家族で使える大型収納が役立ちます。

シューズクローク

土間付きのウォークインタイプ、家族用動線と来客用動線を分けるウォークスルータイプなど、家族のライフスタイルに応じて、アイディア次第で様々なシューズクロークにできます。

土間付きのウォークインタイプ

自転車が置ける玄関土間収納

ある程度の広さを使うと、プラスαの働きをする収納スペースにできます。

  • 靴やコートの他に、アウトドア用品やベビーカーなども収納したい「キャンプ用品やサーフボードは敷地内に物置を設ける」という考え方もあります。その選択肢も含め、駐車スペースからの動線や敷地の広さを考え併せた上で、より使いやすい収納を選びましょう。ベビーカーや子どもの自転車は、奥内に収納場所がないと玄関周りに置くことになり、玄関周りの雰囲気が損なわれてしまう恐れがあります。玄関内に収納できれば、玄関周りがすっきりすることに加え、雨風からも守れます。
  • ある程度の広さを取り作業ができるスペースとしても使いたい自転車の手入れや趣味の塗装、鉢の植え替えなど、室内では汚れが気になってできない作業ができます。この他にも、姿見を置いて外出準備をするなどの使い方もできます。

家族用動線と来客用動線を分けるウォークスルータイプ

2つの動線を作る玄関収納

京都市左京区|モデルハウス | 光が降り注ぐ吹抜リビングとアウトドアリビングのある省エネ快適分譲住宅

玄関は家の顔でもあるので生活感を出したくないという場合には、家族用動線をウォークスルータイプの収納にする方法があります。家族の靴や外出時のコートなどは玄関からリビングへの間にある壁面収納に片づけるので、来客用動線は常にきれいにしておけます。

二世帯住宅や大人数の家族では、玄関が片付かないことが悩みの種になったりしますが、玄関の収納が充実していると、玄関が常にすっきりします。

リビングの収納

玄関の収納は靴と傘、玄関用の掃除用品程度にし、リビング内にファミリークローゼットを設ける間取りもあります。子育て中には、リビングが子どものおもちゃでいっぱいになってしまいます。ウォークスルータイプにして、内部の使いやすい位置に子ども専用のスペースを作ってあげると、自分でお片付けする習慣が身につきます。

寝室と子ども部屋の収納

それぞれの部屋に収納を設けるという方法もありますが、寝室からも子ども部屋からも出入りできる大型収納にするという間取りもあります。シーズンオフに衣類や予備の布団などがしまえます。着替えができるような造りにしておくと、着替えの手間が省けますし、子どもが幼いうちは、親が子どもの収納エリアの整理整頓を見守ってあげられます。

ただ、この収納は子どもが年頃になると、親や兄弟姉妹と共有するのを嫌がるようになる恐れもあります。その為の備えとして、子供が成長した際には簡単なリフォームで内部を仕切れるようにしておくと良いでしょう。

使い勝手の良い収納にするポイント

洗面所の収納

使いやすい位置にあり、ちょうど良いサイズであったとしても、造り方によっては使い難い収納になってしまいます。使い勝手の良い収納にする為に必要なポイントを考えてみましょう。

明るさと換気の為には窓が役立ちます。間取り的に窓がつけられない位置にある場合には、換気扇を設ける、湿度を吸収する内装素材を使うなどの工夫が必要です。

照明

まだ何も入れていない状態では十分な明るさがあっても、物が増えると隅に明かりが届きにくくなってしまうことがあります。物を入れた時の状態を想定して照明の位置と数を決めましょう。

コンセント

収納内に掃除機をかけたり、お掃除ロボットの充電をしたりできるよう、使いやすい場所に必要な数のコンセントを設けます。

出入り口

間取りによっては引き戸と扉の選択ができないこともありますが、出入り口の横の壁に余裕があれば、引き戸がおすすめです。前方にデッドスペースが生まれないことと、開けたままにできるという使い勝手の良さがあります。

扉の場合、開閉の為に必要なスペースを確保しなくてはならないので、内開きにすると収納スペースが減り、外開きにすると通行し難くなってしまいます。

また引き戸は開けたままにしておけるので、両手いっぱいに荷物を持っていても楽に出入りできる、窓がない収納の場合、風を入れられるなどの良さがあります。

ポイントを押さえて活きる収納に!

収納はなくてはならない場所ですが、造り方によって活きた収納にも使えない収納にもなってしまいます。家族構成、ライフスタイル、持ち物の量に合わせて綿密に計画を進めることが、活きた収納を生み、無理をしなくてもいつも自然に片付いている家を実現します。

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