省エネ住宅はいつから義務化?2023年の補助金はある?
国は家庭での消費エネルギー削減の為、2030年までに新築住宅をZEH基準にすることを目標にしています。ただし、令和4 年6月に改正された建築物省エネ法で義務化されたことは、新築住宅と建築士に対するそれぞれの努力義務です。そして新築の省エネ化を推進する為、補助金の交付を行っています。
省エネ住宅新築に必要なことを考えてみましょう。
省エネ住宅の新築時に知っておきたいポイント |
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目次
省エネ住宅への取り組みで変化してきた日本の家
個人の住宅に対する初めての省エネ基準は1980年に定められた旧省エネルギー基準(昭和55年基準)です。そしてその後は改定を繰り返す度、室内環境を少ないエネルギーで調えられる家へと進化してきました。
昭和55年基準の住宅
断熱と日射遮蔽での省エネ対策が定められていましたが、冷暖房や給湯で消費されるエネルギー削減は含まれていませんでした。そして当時の住宅の多くは、冷暖房をしていても暖かさ涼しさが逃げ、暑さや冷気が侵入してくる率が多かった為、冬寒く夏暑い家でした。
平成28年省エネルギーの基準の住宅
昭和55年以降、住宅省エネ基準は平成4年、平成11年、平成25年、平成28年と改正が繰り返されました。
平成28年省エネルギーの基準の住宅では、外皮性能の基準と、一次エネルギー消費量の基準という2つの面から省エネ性が考えられています。
外皮性能の基準とは、屋根や壁、床、開口部からの熱の出入りを抑え、日射を遮蔽して、冷暖房の効率を上げる為の基準です。一次エネルギー消費量の基準とは、冷暖房や換気、照明、給湯などの設備によって消費するエネルギー量を抑える為の基準です。
住宅の省エネに関する基準 |
住宅の省エネルギー基準
気候条件に応じて分けられた8地域のごとの基準値を満たす「外皮平均熱貫流率(UA値)」「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」 |
低炭素建築物の認定基準
「住宅の省エネルギー基準」で定める一次エネルギー消費量に対し、一定の比率以上の削減がなされている |
このどちらかの基準を満たしている住宅は、熱の出入りが抑えられているので冷暖房の効率が上がり、少ないエネルギーで快適な室温が調えられます。ただ、この基準は十分ではありません。冷暖房をしている場所としていない場所、冷暖房をしている時間帯としていない時間帯では、家の中に温度差が生まれます。
この状態は家族の快適性を損なうことに加え、温度差が生まれる分、温度差の生まれない家に比べると省エネ性能も低下してしまいます。その為、今後はさらに高い省エネ性が求められます。
今後の目標とされるZEH基準以上の住宅義務化は2025年以降
ZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、家庭で消費するエネルギーと同じ量、またはそれ以上を家庭で創り出せる住宅を指します。今後の目標とされるZEH基準以上の住宅の義務化は、2025年以降になると考えられます。
平成28年省エネルギーの基準の住宅とZEH基準の住宅との違いは、エネルギーを家庭で創るという点ですが、それだけではなく断熱性と気密性、日射遮蔽に対してもより高い基準が求められます。
平成28年省エネルギー基準相当の断熱性は等級4ですが、ZEH水準では等級5、そして2022年10月からは、等級6と7が加わりました。
地域区分6にあたる京都市には、等級に応じて等級5以上の断熱性が求められます。
6地域の断熱性能等級 | ||
等級 | UA値 | 等級に対する説明 |
1 | その他 | |
2 | 1.67 | 熱損失の小さな削減のための対策が講じられている |
3 | 1.54 | 熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられている |
4 | 0.87 | 熱損失等の大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令に定める建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている |
5 | 0.6 | 熱損失等のより大きな削減のための対策が講じられている |
6 | 0.46 | 熱損失等の著しい削減のための対策が講じられている |
7 | 0.26 | 熱損失等のより著しい削減のための対策が講じられている |
出典:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設 国土交通省
省エネ住宅で変わる暮らし
今後の改正によって、ZEH基準以上の省エネ性能が義務化されていくことになると思いますが、省エネ性能は高めるほど建築費が嵩みます。ZEH基準、またはそれ以上にする為には設備機器へも投資しなくてはなりません。
土地が高額である上に、経済社会の情勢から建築費も上がり続けている中、消費者にとって省エネ住宅を新築することは、暮らしにどのような影響を与えるのでしょうか?
光熱費を抑えられる
断熱性と気密性によって冷暖房、日射遮蔽によって冷房の効率が上がり、LED照明や省エネタイプの電気機器によって電気代が節約できます。また、太陽光パネルを採用した場合には、太陽熱を利用して給湯や家庭機器の電気を賄えます。余剰の電気は売電もできます。
断熱・気密性が高い家ほど、建築や設備にかかる費用が嵩みますが、節約できるエネルギーの量が増え、より光熱費を抑えられます。ただ、室温や採光に対して考えたいことは、断熱性を表す数字だけではなく、間取りや内装に使う建材によっても、家庭で消費する電気の量が変わるということです。
断熱・気密性の高い家の中の空気が循環する間取りは、少ないエネルギーで家中に暖かさ涼しさが届くので、冷暖房にかかる費用が抑えられます。窓の配置や吹き抜けとの組み合わせが十分に計算されている間取りでは、日常的な作業を滞りなくできるだけの明るさを採り入れられ、照明にかかる費用が抑えられます。
家の中の温度差がなくなる
断熱・気密性が向上するほど、家の中に出入りする熱の量が少なくなります。その結果、家の中は魔法瓶のような状態になり、温度差がなくなります。断熱・気密性がそれほど高くない住宅では、暖房をしている部屋と、玄関や廊下など暖房をしていない部屋には温度差が生まれます。
その結果、子どもが風邪をひきやすくなってしまう、高齢者にはヒートショックのリスクが高まるなど、家の中に家族の健康に悪影響を及ぼす環境が生まれてしまいます。夏にはエアコンが切れると暑くて目が覚める、帰宅すると家の中が蒸し風呂のようになっているというようなこともあります。
断熱・気密性の高い住宅では、空気が循環する間取りになっていれば、冷暖房をしていない場所にも暖かさ、涼しさが流れていきます。また、冷暖房を切った後に急激に温度が低下するという現象が起こらず、暖かさ、涼しさがある程度続きます。
その為、冷暖房をしている場所としていない場所、している時間帯としていない時間帯の温度差が抑えられ、家の中のどこに行っても、またどの時間帯にも快適な室温が維持されます。
建築費はかかるがそれ以上に光熱費を抑えられる・家族にとって快適で健康が維持しやすい室内環境が調うという2つの面を考え併せると、省エネ住宅は暮らしを豊かにすることに繋がるのではないでしょうか?
2023年 省エネ住宅の新築で得られる補助金
国土交通省では省エネ住宅を新築する子育て世帯または若者夫婦世帯への支援としてこどもエコすまい支援事業を行っています。補助金を受けられる人は建築主ですが、手続きは登録事業者が行います。従って、この補助金を活用したい場合には、登録事業者に施工を依頼する必要があります。
こどもエコすまい支援事業・令和4年度補正予算(第2号)
本事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることを目的とした事業です。
こどもエコすまい支援事業 | |
補助対象事業 | 注文住宅の新築 |
補助対象者 | 注文住宅を新築する子育て世帯または若者夫婦世帯 |
補助額上限 | 1住戸につき100万円 |
着工期間 | 2022年11月8日以降 |
交付申請期間 | 2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)予算1,500億円に達した時点で申請受付が終了します。 |
国土交通省 こどもエコすまい支援事業のホームページ
現在はまだ、ZEH基準以上の省エネ性能が義務化されている訳ではありません。ただ、家は長く住む所であり、家族の心と体の健康の拠り所となる場所です。新築する家は、何時までも快適に健康に暮らせる場所にしなくてはなりません。その為にはできるだけ高い省エネ性能を備えた家にすることが大切です。
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