二世帯住宅は完全分離なら後悔を避けられる?
二世帯住宅を建てたが失敗に終わったというケースは少なくありません。世代による価値観、育ち方や家族の在り方に対する考えなどの違いは、人によって異なります。
その違いが同居という一つの家での暮らしの中で齟齬を生んでしまうのでしょう。それでは二つの家のように暮らせる完全分離という二世帯住宅なら、後悔は避けられるのでしょうか?
二世帯住宅を成功させるポイント |
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目次
完全分離型の二世帯住宅の人気が高い理由
近年は、二世帯住宅を建てるなら完全分離にしたいと考える人が増えています。少人数での暮らしに慣れている人が多い現代では、三世代が共に暮らす二世帯住宅は、暮らしにくく感じるからでしょう。
それでは一般的に、二世帯住宅のどのような部分がストレスになるのでしょうか?
キッチンや浴室、玄関などを共有することによって生まれるストレス |
使い方や整理整頓の仕方の違い |
使う時間帯の調整 |
世帯ごとの生活の時間帯のズレによって生まれるストレス |
生活音によるお互いの世帯への睡眠の妨害 |
家計の曖昧さによって生まれるストレス
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この他にも、子どもの教育への考え方が違う、世帯ごとのプライバシーがない、気軽に友人を自宅に誘えない、新築時に好みの外観や内装のデザインにできないなど、多数の問題があります。
それでは完全分離にすれば、二世帯住宅で発生すると考えられるストレスはすべて回避できるのでしょうか?これは、それほど簡単なことではなく、完全分離にすれば、完璧にストレスを回避できる訳ではありません。
家族の事情に合わせて綿密に間取り計画を進めなければ、二世帯が共に幸せに暮らせる家にはならないのです。
後悔しない完全分離型の二世帯住宅にするポイント
せっかく完全分離型にしても、間取りによっては、お互いの世帯の生活音が気になる状況が生まれてしまいます。一方、同居によるストレスは全くないが、親世帯が伴侶を失った後に寂しさを感じるようになるという問題も生まれます。
完全分離型のタイプ別生活への影響
完全分離型には2つの分離方法があり、その方法によって生活に与える影響が変わります。
上下分離型 |
1階と2階に分離する建て方です。最も大きなデメリットは生活音です。その他にもいくつかのデメリットがありますが、メリットもあります。 |
■ 1階は日当たりが悪くなる恐れがある
立地条件にもよりますが、住宅が密集する地域では「1階に陽射しの入る部屋がほとんどない」という状況になってしまうことがあります。分離型ではない場合には、吹き抜けを設けて2階からの陽射しを1階に届けるなどの間取りにできます。
一方、完全分離型に吹き抜けを設けてしまうと、音やにおい、気配などがお互いに届きやすくなってしまいます。周辺環境から1階への日当たりが得にくい場合には、上下分離にすることで、この問題を回避できます。
■ 出入り口
2階部分への出入り口は外階段を設け、それぞれの階に玄関を設ける方法と、内階段を設ける方法があります。外階段にすると、天候の悪い日には使い難いという問題があり、内階段にすると1階の世帯は、床面積が減ってしまうという問題があります。
家族構成から考えて、世帯ごとの人数が違う場合には、人数の少ない世帯を1階にする、気候の影響を受けない外階段にするなどの工夫が必要です。
■ 生活音
2階からの足音や椅子を引く音、水回りの排水音などが1階に響きます。ただ、子ども部屋を2階にすると足音が響きやすいが、親世帯を2階にすると高齢になった際に使い難くなるなど、1階と2階の割り振りだけで考えると、一長一短になってしまいます。
生活音の問題を避ける為には、床に防音・遮音ができる建材を使うなどの工夫が求められます。
■ 親世帯が高齢になっても2階に使えないスペースが生まれない
左右型の場合、親世帯が高齢になると2階部分が使われなくなる可能性がありますが、上下分離型の場合には、2階を子世帯、1階を親世帯に分離するとその問題を避けられます。
■ 庭
上下分離型の住宅では庭の分け方や管理の仕方がトラブルになることがあります。庭の手入れが趣味という人がどちらの世帯にもいる場合、好みやセンスの違いで庭を楽しめなくなる恐れがあります。
一方、どちらの世帯も庭の手入れに興味がないという場合には、雑草取りや落ち葉拾いなどの分担を決めておかないと、トラブルになったり、廃屋の庭のようになってしまったりする恐れがあります。
庭を共有する場合には、庭の手入れの分担を決めておく、業者に季節ごとの庭の手入れを依頼する場合には、費用の割り振りを決めておくことが大切です。
左右分離型 |
隣り合う2軒の家のように建てる二世帯住宅なので、日当たりや生活音、出入り口の設け方などに関する問題は発生しません。ただ、完璧に分離されてしまうことによるデメリットもあります。
それは主に、二世帯間のコミュニケーションが絶たれるという問題と、親世帯の2階が使われなくなる恐れがあることです。 |
■ 子育てが共有し難い
教育方針の違いがトラブルの元になるという考えもありますが、二世帯住宅には子世帯が共働きの場合には、親世帯に子育てを手伝ってもらえるという良さがあります。完全分離の場合、どちらかの世帯への移動が必要になるので、自然に手伝えるという環境は生まれません。
■ 将来的な見通し
家は長く住む所です。二世帯住宅であれば、さらに長い期間を暮らすことになるでしょう。その長い期間にはいくつかの問題が発生します。
- 親世帯が2階を使えなくなる
親世帯が現役で元気なうちは良いのですが、高齢になると2階を使えなくなる日がやってくるかもしれません。この問題に関しては、将来、ホームエレベーターを設ける為の備えをしておくという解決方法があります。
そのような時期になるまでは収納として使っておき、時期が来たらリフォームをしてエレベーターにすることができます。
- 暮らしに寂しさを感じる
親世帯のどちらかが伴侶を失う日が来れば、寂しさを感じる暮らしになることも考えられます。遠く離れて暮らしているなら会えないことにも諦めがつきますが、隣にいるのに顔を合わせない日々が続く状況になってしまうと寂しく感じるのではないでしょうか?
ただ、子世帯側が仕事や勉強に追い回されていると、家族内でも顔を合わせるチャンスが少ない生活になっているかもしれません。
そのような状況であっても、完全同居や部分共有なら自然に顔を合わせるチャンスも生まれるのですが、完全分離ではそのようなチャンスが生まれません。そこで考えたいことが共有スペースです。
左右分離型のデメリットを解決するポイント |
自然なコミュニケーションが生まれる空間を設ける |
1階のテラスやウッドデッキ、または2階のベランダ、庭の一部などに、ちょっとしたテーブルや椅子を置いて団欒できる場は、キッチンや浴室、玄関の共用とは違い、ストレスなく共有できるのではないでしょうか?
そしてこのスペースは子育ての共有しやすさにも繋がります。もちろんこれは、家族の考え方やそれぞれの性格、家族構成、敷地の広さや住宅の規模によって最適な方法は変わってきます。
ただ、完全分離にする場合には、そのような将来の変化についても考えておくことが大切です。
二世帯住宅の建築費や税金について
二世帯住宅と一般的な住宅では建築費と必要な土地の面積が変わります。さらに二世帯住宅は建て方によって建築費と必要な土地の面積、そして資産価値が変わります。
建築費と土地面積
二世帯住宅の中で完全分離型は最も建築費が嵩みます。また、部分共有型や完全同居型より広い土地が必要です。
資産価値
資産価値という面から考えると、二世帯住宅は、一般的な住宅よりも売りにくい傾向がありますが、左右分離型には資産価値が高くなりやすいという面があります。二世帯住宅の内、片方を賃貸にする場合や、二世帯住宅ごと売却する場合に、上下分離には借り手、買い手がつきやすいという有利さがあるからです。
税金
完全分離型の二世帯住宅は、税の優遇措置の割合が増えます。
2024年3月31日までの不動産取得税の軽減措置
単世帯の住宅 |
建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円(認定長期優良住宅の場合1,300万円))×3%
土地の不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3%-軽減額 |
完全分離型の二世帯住宅 |
建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-2,400万円(認定長期優良住宅の場合2,600万円))×3% |
固定資産税と都市計画税の軽減措置
- 固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
- 都市計画税=固定資産税評価額×市町村が定める税率 (京都市は0.3%)
京都市情報館 固定資産税・都市計画税
単世帯の住宅 |
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完全分離型の二世帯住宅 |
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二世帯住宅、特に完全分離の二世帯住宅は土地や建築費にかかる費用が単世帯の住宅より嵩みますが、税金や住宅ローンの軽減があります。また、二世帯が費用を分担できるという強みもあります。
そして、二世帯住宅は完全分離にすれば後悔しない住宅になる訳でもなく、部分共有や同居にすれば後悔するという訳でもありません。敷地の広さ、家族構成、暮らし方、家族の暮らしや子どもの教育に対する考え方、家族一人一人の性格など、様々な要因によって、最適な二世帯住宅のタイプは変わります。
大切なことは現在だけではなく、暮らし始めてからの年月での変化も含め、どのような暮らしができる二世帯住宅にしたいのかということを、二世帯間で十分に話あうことが大切です。
二世帯住宅を成功させるポイントは、完全分離だけにこだわらず、十分な話し合いによって家族全員が納得した上で、計画を進めることです。
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