住宅の断熱性能のua値基準と京都市の年間気温に必要な等級
住宅の断熱性能の高さを決める際には断熱等性能等級の基準を参考にできます。住宅断熱性能には2022年から加わった新しい等級も含めると7段階あります。その中で京都市の年間気温と考えあわせると、どの程度のua値が必要なのでしょうか?
また、断熱に対する考え方や評価の方法も推移してきていますのでその部分も併せて考えていきましょう。
京都の住宅の断熱性能のポイント |
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目次
住宅の断熱性能基準の推移
日本国内において、初めて住宅の断熱性能の基準が定められた1980年から、2020年までの間には、何度かの法改正があり、求められる基準値と内容が変わってきました。
断熱性能・省エネ基準の推移(地域6の基準値で比較) |
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年代 | 基準 | 地域6の基準値 |
1980年(昭和55年) | 省エネルギー基準 制定
【旧省エネ基準】(断熱等性能等級2相当) |
UA値:1.67 |
1992年(平成4年) | 省エネルギー基準 改正
【新省エネ基準】(断熱等性能等級3相当) |
UA値:1.54 |
1999年(平成11年) | 省エネルギー基準 改正
【次世代省エネ基準】(断熱等性能等級4相当) |
UA値:0.87 |
2013年(平成25年) | 省エネルギー基準 改正
【平成25年省エネ基準】(断熱等性能等級4) 一次エネルギー消費量基準追加 |
UA値:0.87 |
2016年(平成28年) | 省エネルギー基準 改正
【平成28年省エネ基準】(断熱等性能等級4) 冷房機の日射熱取得基準変更 |
UA値:0.87 |
2021年(令和3年) | 省エネ基準説明義務化 | UA値:0.87 |
2022年(令和4年) | 断熱等性能等級5・6・7新設 | UA値:0.87 |
今後の予定 | ||
2025年(令和7年) | 省エネ基準適合義務化(断熱等性能等級4) | UA値:0.87 |
2030年(令和12年) | 省エネ基準適合義務化(断熱等性能等級5) | UA値:0.6 |
耐震基準とは違い、断熱性能は現時点では新築時の断熱性能の基準選びに対する義務はありません。求める快適性と予算に合わせて、自由に断熱性能の高さを決められます。
断熱性とは、家を出入りする熱の量を現わす数値です。屋根、床、壁、開口部など、外気に接するすべての面からの熱の出入りの平均であるua値(外皮平均熱貫流率)として基準が定められています。
ua値が低いほど、熱の出入りが少なくなるため、住宅の断熱性能は向上します。そしてこのua値の基準は、地域によって数値が異なります。
地域区分別断熱性能等級 |
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地域区分
等級 |
1・2 | 3 | 4 | 5・6(京都) | 7 | 8 |
北海道 | 青森・岩手・秋田 | 南東北・北関東・信越 | 南関東・東海・北陸・近畿・中国・四国・九州 | 宮崎・鹿児島 | 沖縄 | |
7 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | |
6 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | |
5 | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | |
4 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 |
2013年(平成25年)以来、ua値の基準0.87は、義務ではありませんでした。ただ、2025年からは最低限の数値としてすべての戸建て住宅に対して、断熱性能等級4が義務化される予定です。さらに2030年には断熱性能等級5(ua値の基準0.60)が義務化される予定です。
そして家は長く住む所です。新築後100年以上快適な環境を維持させることを考えた場合、新築時の断熱等性能等級には最低限4、理想は6~7に値するua値を備えさせることが求められます。
1981年から2010年までの30年間の平均値から京都市の年間気温を見ると、最高気温は39.1℃、最低気温は-1.7℃となっており、改めて温度差の幅があることが分かります。
画像出典:地勢・気象 - 京都市
断熱性能等級の評価内容の比較
ua値だけを見ると、1999年(平成11年)以来、断熱に対する基準は変わっていないように感じられますが、評価の内容は少しずつ改正されてきていました。そして等級6と7では、具体的に暖冷房にかかる一次エネルギー消費量をおおむね30%(7は40パーセント)削減可能とされています。
断熱性能等級の評価内容 |
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等級7 | 暖冷房にかかる一次エネルギー消費量をおおむね40%削減可能 |
等級6 | 暖冷房にかかる一次エネルギー消費量をおおむね30%削減可能 |
等級5 | ZEH・長期優良住宅の認定に必要 |
等級4 | 開口部にも高い断熱性を持たせる |
また、平成25年の省エネ法の改正において、μ値から現在のηA値へ変更されました。
室温の上昇を抑えるηAC(冷房期の平均日射熱取得率)は、断熱性と同時に必要な性能です。
特に京都市では、風が弱く蒸し暑くなる気候であることに加え、近年は都市気候の影響により気温が上昇する日が増える傾向にあります。その為、日射遮蔽をして夏の室温上昇を抑えなくてはなりません。
住宅全体の断熱性の中で、窓からの日射熱は夏の室温上昇に最も大きな影響を与えます。冬は暖かさを届けてくれる窓からの陽射しが、夏は冷房の効率を低下させてしまうのです。新築時に必要な日射遮蔽対策は、軒や袖と窓です。
軒の深さ
住宅の向いている方角や屋根の形状と、季節によって変わり太陽の高度を考え併せた上で、適切な深さの軒を設けることが日射遮蔽に役立ちます。袖が役立つ場合もあります。
窓の断熱性
夏に住宅内に侵入して来る熱のうち、70パーセント以上が窓を通ってきます。冬には30パーセント以上の熱が窓から逃げていきます。その為、屋根や外壁の断熱性の高さを十分に活かす為には、窓からの熱の出入りを抑える必要があります。
窓はガラスとサッシで構成されていますが、複層ガラス以上の断熱性を持つガラスと、熱を通しにくい樹脂や木材のサッシが室内への熱の侵入を防ぎます。特に強く陽射しが入る部屋には、紫外線をカットする働きもあるLow-E複層ガラス遮熱タイプが役立ちます。
京都市の年間気温に合わせて快適さが続く分譲住宅
季節によって天候も温度や湿度も変化します。その変化は地域によって異なり、京都には、春や秋には心地良い日々が続くが、冬の夜間は厳しく冷え込み、夏は猛暑日が多いという特徴があります。その為、京都の気候の特性に合わせて住宅の性能を決めていくことが大切です。
断熱・気密・日射遮蔽を備えた家では、最小限のエネルギーで夏涼しく冬暖かい室内環境が調います。太陽光発電と組み合わせるとさらにエネルギー消費を抑えられます。
光が降り注ぐ吹抜リビングとアウトドアリビングのある省エネ快適分譲住宅 モデルハウス
全館空調で24時間365日快適な木のぬくもりを感じる快適な住まいです。
室温の快適性
吹き抜けや格子の建具で家の中の空気が循環するように設計されている住宅なので、全館空調が効率よく働き、1台のエアコンで家中の室温を適切に調えられます。
省エネ性
最小限のエネルギーで冬は暖かく夏は涼しく過ごせ、日当たりの良さで日中は照明をつけなくても日常生活に必要な作業ができるので光熱費が抑えられます。
また、吹き抜けと高低差のある窓によって、立体的な風の通り道が生まれます。室内の熱が排出されるので、夏でも猛暑にならない日には窓からの風が室内を涼しくします。
自然素材
無垢材のフローリングや格子、自然素材の塗り壁は、落ち着いた清潔感のある雰囲気を生み出すだけではなく、室内環境にも良い影響があります。自然素材には程度の差こそあれ、共通して調湿という性質があります。
空気中に水分が増えると吸収してジメジメを防ぎ、乾燥すると蓄積した水分を蒸散してしっとりした空気にする働きをします。
梅雨時から夏にかけては、ジメジメが防げるのでカビやダニが発生する心配がなくなり、家族にアレルギーが発症するリスクを低下させます。冬は乾燥が防げるので、粘膜の炎症や肌荒れも発生し難くなります。
メンテナンス費用の軽減
戸建て住宅はメンテナンスの費用がかかるから、賃貸の方が良いという考え方があります。確かに外壁や屋根は10年程度で再塗装が必要になるような戸建て住宅も少なくありません。
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